「自宅サウナのベンチを作りたい」「テントサウナに敷くすのこを自作したい」——そう思って木材を探し始めると、最初にぶつかるのが「そもそも、サウナ用の木材ってどこで買えばいいの?」という壁です。
DIY用の木材はホームセンターに山ほど並んでいますが、サウナ室は高温と急激な湿度変化にさらされる特殊な環境。一般的な建材をそのまま持ち込むと、数か月で反ったりヤニが噴き出したりすることがあります。
本記事では樹種そのものの解説ではなく、「どこで買い、何を伝えて、どう発注するか」という調達の実務に絞って解説します。どの木を使うか迷っている段階の方は、先にサウナで使われる木材の種類と特徴で当たりをつけてから読み進めてください。
サウナ用の木材が買える主な購入先4種類
① 木材専門の通販サイト
樹種・寸法を指定してネットで注文できる木材専門の販売店です。造作材やサウナ材のカテゴリを持つところもあります。
- 強み:ホームセンターではまず見かけない樹種も含めて選択肢が広い。mm単位のカットや面取りを有料オプションで受けてくれる店が多く、自宅まで配送してくれる
- 弱み:実物を見られないため、節の入り方や色ムラは届くまで分からない。長尺材は送料が高くつく
見積もりは必ずカット費用と送料を含めた総額で比較してください。板単価が安くても、加工費と送料で逆転することは珍しくありません。
② ホームセンター
もっとも身近な選択肢で、規模が小さいうちはここで完結するケースもあります。
- 強み:現物を見て節や反りを確認できる。1枚から買え、その場で持ち帰れるので寸法を間違えても買い足しやすい。直線カットサービスが安価
- 弱み:サウナ向きの樹種はほとんど置いていない。主力はSPF材・ホワイトウッド・杉といった建築用の一般材で、乾燥グレードの表示がない場合もある。面取りや本実(ほんざね)加工など、直線カット以外には基本的に対応していない
③ 地域の製材所・材木店
見落とされがちですが、まとまった量を使うならもっとも相談しやすい相手です。
- 強み:寸法を指定して挽いてもらうところから相談できる。プレーナー(自動カンナ)仕上げや面取りをまとめて依頼できる。同じ樹種・同じロットで数を揃えやすく、量が出ると単価が下がることもある
- 弱み:一般の個人客に慣れていない店もある。数量が少ないと断られたり割高になったりする。基本は引き取り前提で、配送は別料金
電話をかけるときは、用途と数量を先に伝えるのがコツです。「サウナのベンチに使いたい」と言えば、乾燥度合いや代替樹種の提案をもらえることがよくあります。
④ サウナ専門業者のキット・パーツ販売
サウナ設備を扱う業者が販売する、ベンチキットや内装材のパッケージです。
- 強み:樹種・寸法・乾燥処理が最初からサウナ用に決まっている。脚・金具・断熱材までセットで揃い、施工手順書が付く場合もある
- 弱み:単価はもっとも高い。サイズが規格に縛られるため変則的なスペースには入らないことがある。受注生産や輸入待ちで納期が長い
購入先の比較表
| 購入先 | 樹種の選択肢 | 実物確認 | カット・加工 | 少量購入 | 価格の傾向 | |---|---|---|---|---|---| | 木材専門通販 | ◎ | ✕ | ◎(有料オプション) | ○ | 中〜高(送料に注意) | | ホームセンター | △ | ◎ | △(直線カットのみ) | ◎ | 低〜中 | | 製材所・材木店 | ○ | ◎ | ◎(プレーナー・面取り可) | △ | 低〜中(量が出ると有利) | | サウナ専門業者キット | △(規格品) | ✕ | ◎(加工済み) | ✕ | 高 |
現実的には1か所で全部揃えようとしないことが失敗を減らします。肌が触れる座面だけ専門通販や製材所で良い材を取り寄せ、見えない下地や脚はホームセンターの安価な材で組む。この配分がコストと快適性のバランスを取りやすい買い方です。内装全体の費用感はサウナ内装の壁材完全ガイドで部位別に整理しています。
発注前に決めておく5項目
見積もりを依頼する前に次の5つを書き出しておくと、どの購入先でもやり取りが一往復で済みます。逆にここが曖昧なまま問い合わせると「で、何をどれだけ?」と聞き返され、納期が延びます。
① 樹種
肌が直接触れる面(座面・背もたれ・ヘッドレスト)と、触れない面(壁・天井・下地)を分けて考えます。触れる面は熱を持ちにくい材、壁は香りや耐久性で選ぶのが基本で、すべてを高級材で揃える必要はありません。
② 寸法(厚み×幅×長さ)
必ず「厚み×幅×長さ」の順で、mm単位で指定します。
- 厚み:座面は30mm前後が目安。薄いとたわみ、厚いと重く扱いづらくなります。壁の羽目板は10〜15mm程度が一般的です
- 幅:90〜120mm程度の板を隙間を空けて並べるのが定番。幅の広い1枚板は反りが出やすくなります
- 長さ:設置スペースの実測値に、切りしろとして両端に10〜20mmを足しておきます
見落としがちなのが定尺の存在です。木材には「サブロク(910×1820mm)」や4m材など流通量の多い規格寸法があり、そこから大きく外れた長さを指定すると端材が無駄になって単価が跳ね上がることがあります。「この長さで取れますか、それとも定尺で買って自分で切ったほうが安いですか」と率直に聞くのが早道です。
③ 仕上げ(プレーナー加工・面取り)
- プレーナー(自動カンナ)仕上げ:表面を平滑に削る加工。粗材(荒材)のままだと表面がザラつき、座ったときに刺さることがあります
- サンダー仕上げ:プレーナーよりさらに滑らか。座面はここまでやると快適です
- 面取り:板の角を落とす加工。角ばったままだと肌に食い込むため、座面はR面取り(丸く落とす)が望ましいです
注意したいのが、プレーナーをかけると仕上がり寸法が数mm小さくなる点。「仕上がり寸法で30mm」なのか「粗材の状態で30mm」なのかを必ず確認してください。ここが曖昧だと、組み上げたときに全体で数mmずれます。
④ 数量と予備
必要枚数に加えて1〜2割の予備を必ず発注します。節や割れの混入、カットミス、木取りの失敗は避けられません。同じ樹種でも入荷ロットが変わると色味が変わるため、後から買い足すと座面の中で色が揃わなくなります。「同ロットで」と一言添えておきましょう。
⑤ 納期
ホームセンターは即日、通販は在庫があれば数日〜1週間、製材所は在庫材なら数日・挽き直しや乾燥が必要なら数週間、専門業者のキットは数週間〜数か月かかることもあります。週末に作業するなら、材が届く日と自分の休みが合うかを先に確認を。長尺材は「自宅の玄関から搬入できるか」も要チェックです。
木材を買うときに見落としがちな4つの注意点
含水率と乾燥
サウナ材でもっとも重要なのが含水率(木材に含まれる水分の割合)です。生木に近い材をサウナ室に入れると高温で一気に水分が抜け、反り・割れ・隙間が発生します。目安として含水率15%以下、できれば10〜12%程度まで乾燥した人工乾燥材(KD材)を選びましょう。
発注時は「KD材ですか、AD材(天然乾燥材)ですか」「含水率は何%ですか」と質問してみてください。ここに答えられない店の材は避けたほうが無難です。届いた材はすぐ使わず、桟を挟んで空気を通しながら設置場所に数日置いて馴染ませると、施工後の動きが小さくなります。
木材の寿命は、組み上げたあとの室内環境にも左右されます。使用中の温度・湿度と、使用後にきちんと乾いているかを把握できる壁掛け式の温湿度計があると管理が楽です。
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ヤニ(樹脂)と節
針葉樹、特に松系の材は高温でヤニが染み出すことがあります。座面に使うと肌や衣類に付着し、落とすのに苦労します。
ヤニは節の周辺に集中するため、節の少ない上級グレードを座面に、節ありの安価なグレードを下地に回すと予算配分が最適化できます。グレードは「無節」「上小節」「小節」「特一等(節あり)」のように呼ばれ、指定しないと安いグレードで見積もられることがあるため必ず明示してください。
塗料・防腐剤は「高温で使えるもの」だけ
一般的なウレタンニス、オイルステイン、屋外用の防腐塗料は、高温で軟化したり成分が揮発したりする可能性があります。閉鎖空間でそれを吸い込むことになるため、サウナ室内では原則として使いません。
- サウナ室内は無塗装が基本。保護したい場合はサウナ用と明記されたワックス・オイルのみを使う
- 屋外用の防腐処理木材(加圧注入材など)は薬剤を含むため、サウナ室内には持ち込まない
- 「屋外サウナの外装」と「サウナ室の内装」では使ってよいものがまったく違う。購入時にどちらに使うのかを明確に伝える
ビス・金具は耐食性のあるものを
木材と一緒にビスも調達することになりますが、必ずステンレス製を選んでください。一般的なメッキビスは湿気で錆び、木材に黒い染みを作ります。
さらに、金属は木材よりはるかに高温になります。座面など肌が触れる面はビス頭が表に出ない裏側からの留め方にするのが鉄則です。表から留める場合は、皿取りして木栓(ダボ)で埋めましょう。
その座面を汗の染みや黒ずみから守るなら、直接座らずに1枚敷くだけでも傷みかたが変わります。折りたたみタイプなら自宅サウナと施設利用の兼用もできます。
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DIYで木材を買うか、業者に任せるかの判断軸
| 判断軸 | 自分で木材を買う | 業者に任せる | |---|---|---| | 対象範囲 | ベンチ・すのこ・棚など単体パーツ | サウナ室まるごと・壁と断熱の一体施工 | | 熱源 | 既存のストーブを使う | 薪ストーブ(煙突・防火の設計が必要) | | 必要な工具 | 丸ノコ・インパクトドライバー程度 | 造作用の機械が必要 | | やり直しコスト | 材料費のみで済む | 建物側に影響が出る | | 期間 | 週末2〜3回で完結する | まとまった工期が必要 |
自分で買って作って問題ないケースは、テントサウナ用のすのこ、既存ベンチの天板の張り替え、可搬式のベンチやステップなど。失敗しても材料費のやり直しで済む範囲です。
業者に任せるべきケースは、薪ストーブを伴う施工、断熱材と防湿層を含む壁の新設、建物の構造に手を入れる改装、賃貸物件での恒久的な造作。安全や原状回復の判断が絡む領域は、木材の調達以前の問題として専門家に相談してください。
見落とされがちなのが中間解です。「材料の調達と加工だけプロに頼み、組み立ては自分でやる」進め方なら、製材所やカット対応の通販に寸法表を渡して"部品"の状態で納品してもらえます。現場の作業は組むだけになるので精度が上がり、工具を一式揃えるより安く済むこともあります。
自宅サウナ全体の方式選びは自宅サウナの作り方完全ガイドにまとめています。
まとめ|「どこで買うか」より「何を伝えるか」で決まる
- ✅ 購入先は木材専門通販/ホームセンター/製材所・材木店/サウナ専門業者キットの4種類。1か所で全部揃えず部位ごとに使い分ける
- ✅ 肌が触れる面は良い材を、下地や脚は安価な材を。この配分がコストを抑える最短ルート
- ✅ 発注前に樹種・寸法(厚み×幅×長さ)・仕上げ・数量・納期の5点を書き出す
- ✅ 「仕上がり寸法か粗材か」「含水率は何%か」「定尺で取れるか」の3つは必ず確認する
- ✅ 予備は1〜2割。同ロット指定で色味を揃える
- ✅ サウナ室内は無塗装が基本。ビスはステンレス製で、頭を表に出さない
木材の調達は、店選びのセンスよりも「伝える情報の精度」でほぼ決まります。寸法表と仕様を紙1枚にまとめてから問い合わせる——それだけで、届く材の質もかかるコストも変わってきます。
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